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故郷で融合する和と北欧デザインの「色」|Mustakivi

今年2月に道後上人坂に移転OPENしたMustakivi(ムスタキビ)さん。日本らしいものづくりを大切にしながら、“よろこびのある日常”につながるものごとを届けることをコンセプトに、石本藤雄さんと共に立ち上げたブランドです。

今回はマリメッコ社(フィンランド)で30年以上テキスタイルデザイナーとして活躍し、アラビア社(フィンランド)でも表現力豊かな陶芸作品を多数生み出してきたアーティスト・石本藤雄さんにお話を伺いました。


ここ(北欧)でデザインの仕事がしたい

生まれは愛媛県砥部町です。松山南高校から東京藝術大学を経て都内企業に就職、宣伝課で広告デザインなどをしていました。

会社員時代に周りの勧めで行った世界周遊旅行。そこで出会ったのがコペンハーゲン(デンマーク)です。ただの旅行者として訪れた私でしたが、街に広がる”色”を見て、「ここ(北欧)で仕事がしたい」という気持ちが強くなり、帰国をせずに仕事を探すことにしたんです。

当時はビザがなくても皿洗いなどのアルバイトで滞在できた時代です。ですが私はそれを選択せず、デザイナーとして働くために辛抱強くチャンスを待ちました。

幸いにもマリメッコの子会社で働けることとなり、その4年後に本社で働くこととなったわけです。アルバイトを選んでいたら今の自分はなかったでしょうね。

Mustakivi店舗では石本さんのマリメッコ時代のデザインから現在の作品まで触れることができる
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50年を節目に帰国。いるべきは故郷

2020年、80歳目前にして故郷に帰ってきたのですが、いつか日本に帰ると決めていました。50年を節目に帰国したわけですが、どこにいてもやることは一緒ですから。

東京や鎌倉、京都など、これからの拠点を検討した結果、いるべき場所は故郷だなと。見晴らしがよく、生まれた砥部町や障子山・石鎚山を見渡せる場所に戻ってきたんです。

草花が描かれた石本さんデザインの小皿
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こんなきれいな花が。子どもの頃は気づかなかった

やはり故郷は良いですね。先日、幼少期に住んでいた砥部町の実家に行ってみたんです。今はだれも住んでいませんが、庭に子どもの頃、木登りをしていたタイサンボクが今も残されている。見ると大きな白い花が見事に咲いていました。「あぁこの木はこんなきれいな花が咲くのか。子どもの頃は気づかなかったな…」と。

子どもの頃は登るためだけの存在であったものも、今見ると美しい緑と白。色を感じるものへと変わります。それ以降、タイサンボクが咲いていると、写真を撮りたくなってしまいます。先日も県庁の入り口に咲いていたので、撮らせてもらおうと守衛さんに一言、声をかけたら、不審そうに見られてしまいました(笑)。

色彩豊かな花々や果実。アラビア社在籍時のアトリエにて

個展「花咲く」。それぞれの色の感じ方を楽しんでください

今はMustakiviに併設されたアトリエで陶芸創作を続けています。帰国して以降、個展「実り」、「蕾」を開催しましたが、この度12月16日から新作発表「花咲く」展を開催します。

今回のテーマは「色」です。同じ形の陶器の花をいろいろな色で表現しています。人は色によって受ける印象、与える印象が変わってきます。白であったり赤であったり、同じ緑でも濃い緑もあれば薄い緑もある。

粘土の性格でも色のノリが変わるので思うようにいかず難しい面もありますけれども、そこが面白い。それぞれの色の感じ方を楽しんでもらいたいです。

石本藤雄展「実り」(2020年)。帰国前にフィンランドで制作した作品
石本藤雄展「蕾」(2022年)。新しいアトリエでの初作品

大切なことはクリエイト。自分なりの形を表現してください

———— 最後に芸術家を志す人にアドバイスをお願いします

私の時代とは違いますからね。私が今の若い人たちにアドバイスできることは、「物をよく見る、良いものを見て、感じた事を自分の形で表現する」ことでしょうか。これは今でも変わらない大切なことだと思います。

具体的には「表現の仕方」です。今の日本で良いものといえば、漫画、それにアニメですね。先日『君の名は。』を見ましたが、あれは良かった。すごいよね。そういう時代の中に、今の子たちはいます。

俳句もよいですね。俳句も「見たもの、感じたものを文字で表現」します。実は私自身、幼少期に絵や図工で賞をもらったことは1度もありません。ただ、俳句では表彰されたことがあり、今でも嬉しかった気持ちを覚えています。大切なことはクリエイトすること。自分なりの形を表現してください。

道後のアトリエにて

80歳目前で帰国し拠点を移した、その行動力と決断力。今尚、現役として精力的に作品を生み出し続けるその姿に、本当に敬服いたしました。
一方、私なんて仕事から帰ったら食っちゃ寝て、先日の人間ドックでは、糖尿病に片足突っ込んでいると、特定保健指導サポートプログラムまで組まれてしまう始末。これは悪玉を善玉の4倍も体内に溜め込んでいる場合ではないんです。

松山市では、誰もがいきいきと豊かで充実した生活を送れるよう、生涯を通した健康づくりサポートを行っています。
石本さんのように、いつまでも若々しく楽しめるよう、私もウォーキングマップを片手に、とりあえず3ヶ月のプログラムを頑張ってみようと思います。


🈺金・土・日・祝日 11:00-17:00  
☎089-993-7497

※ストリートビューは、MustakiviがOPENする前の画像です。