故郷で融合する和と北欧デザインの「色」|Mustakivi
ここ(北欧)でデザインの仕事がしたい
生まれは愛媛県砥部町です。松山南高校から東京藝術大学を経て都内企業に就職、宣伝課で広告デザインなどをしていました。
会社員時代に周りの勧めで行った世界周遊旅行。そこで出会ったのがコペンハーゲン(デンマーク)です。ただの旅行者として訪れた私でしたが、街に広がる”色”を見て、「ここ(北欧)で仕事がしたい」という気持ちが強くなり、帰国をせずに仕事を探すことにしたんです。
当時はビザがなくても皿洗いなどのアルバイトで滞在できた時代です。ですが私はそれを選択せず、デザイナーとして働くために辛抱強くチャンスを待ちました。
幸いにもマリメッコの子会社で働けることとなり、その4年後に本社で働くこととなったわけです。アルバイトを選んでいたら今の自分はなかったでしょうね。
50年を節目に帰国。いるべきは故郷
2020年、80歳目前にして故郷に帰ってきたのですが、いつか日本に帰ると決めていました。50年を節目に帰国したわけですが、どこにいてもやることは一緒ですから。
東京や鎌倉、京都など、これからの拠点を検討した結果、いるべき場所は故郷だなと。見晴らしがよく、生まれた砥部町や障子山・石鎚山を見渡せる場所に戻ってきたんです。
こんなきれいな花が。子どもの頃は気づかなかった
やはり故郷は良いですね。先日、幼少期に住んでいた砥部町の実家に行ってみたんです。今はだれも住んでいませんが、庭に子どもの頃、木登りをしていたタイサンボクが今も残されている。見ると大きな白い花が見事に咲いていました。「あぁこの木はこんなきれいな花が咲くのか。子どもの頃は気づかなかったな…」と。
子どもの頃は登るためだけの存在であったものも、今見ると美しい緑と白。色を感じるものへと変わります。それ以降、タイサンボクが咲いていると、写真を撮りたくなってしまいます。先日も県庁の入り口に咲いていたので、撮らせてもらおうと守衛さんに一言、声をかけたら、不審そうに見られてしまいました(笑)。
個展「花咲く」。それぞれの色の感じ方を楽しんでください
今はMustakiviに併設されたアトリエで陶芸創作を続けています。帰国して以降、個展「実り」、「蕾」を開催しましたが、この度12月16日から新作発表「花咲く」展を開催します。
今回のテーマは「色」です。同じ形の陶器の花をいろいろな色で表現しています。人は色によって受ける印象、与える印象が変わってきます。白であったり赤であったり、同じ緑でも濃い緑もあれば薄い緑もある。
粘土の性格でも色のノリが変わるので思うようにいかず難しい面もありますけれども、そこが面白い。それぞれの色の感じ方を楽しんでもらいたいです。
大切なことはクリエイト。自分なりの形を表現してください
———— 最後に芸術家を志す人にアドバイスをお願いします
私の時代とは違いますからね。私が今の若い人たちにアドバイスできることは、「物をよく見る、良いものを見て、感じた事を自分の形で表現する」ことでしょうか。これは今でも変わらない大切なことだと思います。
具体的には「表現の仕方」です。今の日本で良いものといえば、漫画、それにアニメですね。先日『君の名は。』を見ましたが、あれは良かった。すごいよね。そういう時代の中に、今の子たちはいます。
俳句もよいですね。俳句も「見たもの、感じたものを文字で表現」します。実は私自身、幼少期に絵や図工で賞をもらったことは1度もありません。ただ、俳句では表彰されたことがあり、今でも嬉しかった気持ちを覚えています。大切なことはクリエイトすること。自分なりの形を表現してください。
🈺金・土・日・祝日 11:00-17:00
☎089-993-7497
※ストリートビューは、MustakiviがOPENする前の画像です。