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瀬戸内×ワインで何気ない日常を|ウテナ銘酒

松山市を拠点に愛媛県が誇る様々な柑橘類を使ったリキュール(ウテナチェッロシリーズ)の販売や“瀬戸内”にこだわったワインの製造を目指す「ウテナ銘酒」さん。その代表取締役を務めるのが、松山市出身の松岡健太さんです。愛媛大学を卒業後、天文学者として京都大学やイタリアのフィレンツェ大学等でブラックホールなどの研究を行っていました。

そんな松岡さんが、なぜ松山に帰ってきて、瀬戸内にこだわり、この地でワインやリキュールの製造を始めたのか、お話を伺いました。


地中海と瀬戸内が似ていることに気づいた

有名な天文台があるイタリアのフィレンツェを拠点に、天文学の研究を行っていたのですが、イタリア生活の中で(特に海岸沿いの街を訪れる中で)、地中海と瀬戸内が似ていることに気づいたんです。

チンクエ・テッレを始めとするイタリア西海岸には、醸造用ブドウの畑が地中海に面して広がっていて、瀬戸内海を眺める愛媛のミカン畑と景色が良く似ている。だったら地中海で盛んなワイン造りは、瀬戸内でもできるのではないか。

瀬戸内でお酒造りを実現するためにはどうすればいいか、といろいろ考えていくうちに、お酒造りのワクワクが、天文学のワクワクを越えたため、希望を胸に地元である松山に帰ってきました。

フィレンツェ(イタリア)の町並み

まだまだこれからといった感じです

松山市は日本国内でも比較的晴天率が高く、ワイン造りには良い条件で、収穫と時期が重なる台風の影響も少ないという利点がある。瀬戸内は海の幸も美味しいので、同じ瀬戸内の気候で造られたワインとも合うはず。

イタリアから帰ってきて、ワイン用ブドウの栽培を始めるとともに、柑橘を使ったイタリアンリキュール(ウテナチェッロシリーズ)の製造販売も始めました。

2024年秋にはブドウが収穫を迎える予定ですので、そこからワイン醸造を始める計画です。リキュールの製造販売を安定させながら、ワイン用のブドウ栽培を進めている…。まだまだこれからといった感じですね。

瀬戸内が生み出す晴天に恵まれた気候は、醸造用ブドウの栽培に適しています

松山に食事やお酒を“楽しむ”文化が根付いたら面白い

イタリアは皆、日常的にワインを飲むような文化で、日本と比べると食事にかける時間も長い。お昼から2時間ぐらいかけてみんなでワイワイ話しながら食べる。みんな誰かと一緒に食べることが前提ですし、食事もお酒も“人と楽しむ”ことが1番なんです。

ヨーロッパには「ここに来たらこの土地のこれを飲め」みたいな食文化があるじゃないですか。「愛媛に、瀬戸内に来たらこの酒を飲め」みたいに、瀬戸内の味に合ったお酒を、住む人も来る人も一緒に楽しめる。松山にもそういった意味で、ワインや柑橘類イタリアンリキュールなどの新しい文化が根付いたら面白いなと思っています。

気がつけばそこにワインがある。そんな日常を松山からお届けしたいと思っています

天文学は僕のライフワークですから、いつかまた

ちなみに、天文学は僕のライフワークですから、今はお酒造りに全力を尽くしていますが、いつかまた論文も書きたいですね。まだまだ面白そうだなと思っている研究が頭にたくさんあるので。

そういえば、少し前に僕が共同研究者として携わっていた研究が、アメリカの査読付き論文(第3者に審査された信頼性の高い論文)として発表されました。ただ、その論文内で、僕の所属がタイミング的な事情もあって”Utena Meishu Company, Limited (株式会社ウテナ銘酒)”と表記されたんです。所属というと、普通は大学や研究所の名前が並びますが、そこに醸造業が混じっている。少し不思議な気持ちでしたね(笑)。

デザインも松岡さんが手掛ける。 「天文学を意識したデザインなんです。外国人が求める日本っぽさも伝わるデザインを…と意識しています。」

リキュール(リモンチェッロ)の本場の飲み方。ぜひ試してみてください

ウテナ銘酒が製造するウテナチェッロは、イタリアの伝統リキュールであるリモンチェッロをベースとしたリキュールなのですが、良い機会ですので、ここで本場のリモンチェッロの飲み方を紹介します。

まずは、冷凍庫でキンキンに冷やしてください。ウテナチェッロはアルコール度数が30%ありますし、15%以上あれば、日本工業規格「JIS」に定められている一般的な冷凍庫の温度の-18℃では凍りません。

その冷やしたリキュールを、食後に小さめのショットグラスに入れて、ちびちびと行くのがイタリア流。イタリアでは食後のデザートという感覚で、香りを楽しみながらリモンチェッロを飲むことが多いです。強いて言うなら日本での梅酒に近い感覚かもしれません。

強いアルコールが苦手な方は炭酸やトニックウォーター、ミルクなどで割って飲むのがおすすめ。特にミルク割りはとても飲みやすく、女性にも好まれます。割り方の目安はリキュール1に対して、割り液5くらいがおすすめです。

柑橘イタリアンリキュールのウテナチェッロシリーズ(檸檬/伊予/でこ/柚子)
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学生時代イタリアを訪れた経験がありますが、当時中田英寿選手のイタリアでの活躍もあり、通りを歩いているだけで、現地の皆さんが笑顔で声をかけてくれたのが印象深かったです。

一方、松山には瀬戸内の気候と同じく、おおらかな人が多く、穏やかな空気が流れていると言われます。イタリア人ほどではないですが人懐っこく、おもてなしの心も持ち合わせた松山人

新型コロナが終息し、住んでいる人も、訪れる人も気兼ねなく誰もが笑顔で
松山の風土にあったフード(食べ物)と銘酒を楽しめる。そんな日が早く戻ってくることを願っています。